血潮たぎる大迫力の川渡り

盆踊りで有名な民謡「炭坑節」のふるさとと言われる、福岡県田川市の中心に位置する風治八幡宮(ふうじはちまんぐう)。五穀豊穣、殖産工業、厄除開運、交通安全守護神として知られ、たくさんの参拝者で賑わう。

毎年5月第3土曜日、日曜日に行われる「川渡り神幸祭」は、福岡県五大祭りのひとつに数えられ、福岡県指定無形民俗文化財第1号に登録されている。

「楽しい祭りは、大抵よごれる?」

そんな問いかけを検証すべく、日本と世界の知られざる「よごれるけど楽しいお祭り」を紹介するこの連載。
今回ご紹介するのは、風治八幡宮の「川渡り神幸祭」。450年以上の伝統を持つこのお祭りは、かつてこの地域に広まった疫病を鎮めてもらったお礼として神社に「山笠」を奉納したことに始まると伝えられています。(「山笠」というのは、山車(だし)の九州地方での呼び名です。)

この「川渡り幸神祭」は文字通り川を渡るお祭りで、光り輝く大神輿と華やかな11台の山笠が、川を渡った先にある「お旅所」まで向かい、一泊して2日目に戻ってきます。見どころは何と言っても「川渡り」の場面! ダイナミックなこの場面を見るために、毎年全国からたくさんの人が訪れます。

お旅所では、色とりどりに飾り付けられた11台の山笠がずらりと並んで出番を待ち構えています。

山笠から垂れ下がっているカラフルな部分は「バレン」と呼ばれ、稲穂を模したもの。五色で五穀豊穣を表しており、所属地域ごとに少しづつ異なっています。飾り付けは各地区の青年団が手作業で行うのだとか。

川渡り神幸祭はふるさとを愛する気持ちを全力で表現できる舞台。獅子楽の奉納も行われ、子どもからお年寄りまで地域のみんなで盛り上げます。

いよいよ、お神輿の出発です。まずは境内でお祭りの伝統、お神輿や山笠を前後に振る「がぶり」が行われます。お神輿は西日本最大級で、総重量は何と2トン!担ぎ手60人が息を合わせ、巨大な神輿や山笠を揺らす姿は圧巻です!

続いて、祭囃子と共に山笠が出発。はっぴ姿の青年団が指揮者の笛の合図で何度もがぶり、会場のボルテージも一気に上がります。

そして、最大の山場の川渡りへ。観光客で埋め尽くされた彦山川に、お神輿、山笠と次々に入っていきます。

大きな山笠と男たちが次々と水の中に入っていく……それだけでも大迫力なのですが、観客たちが待ち構えているのは、この川の中でのがぶり! 川の水をものともせず、全身ずぶ濡れでがぶりが盛大に行われます! 派手に上がる水しぶきに合わせ、血潮たぎる担ぎ手たちの士気は最高潮に。すごい迫力です。

川から上がるお神輿と山笠。川の中でのがぶりで、担ぎ手たちも派手によごれています!

旅を終え、お神輿が風治八幡宮に戻って来るころには、担ぎ手たちも川の水と泥と汗まみれ。この汚れは勲章ですね。

川渡りを終えた山笠は飾りなどを外されたあと、またみんなで各地区まで押して帰るとのこと……。ちなみに外されたバレンは各地区の家庭に配られ、玄関や屋根の上に飾られるそうです。地域の人にとって誇りであり、本当に大切なお祭りなんですね。

上伊田東地区の団長・指揮者にお話を伺いました。

「小さいころから祭りを見て育ち、ずっと団長に憧れてきました。団長・指揮者になって4年目、今年で引退し、弟に譲ります。さみしい気持ちもありますが、来年から裏方として山笠を支えます!」

同じく上伊田東地区の区長は、
「今年80歳になるので、もう70年くらい祭りをやっています。20万人の人で賑わった去年に引き続き、今年もたくさんのお客さんに楽しんでもらいました。何より事故が起きなくてよかったです。2日目はさすがに疲れますが、景気付けに1杯飲んだりして楽しくやっています」とのこと。

汗、泥、水しぶきほとばしる川渡り神幸祭。華やかな山笠に、渦巻くエネルギーと熱気。見ているだけでもパワーチャージされること間違いなし! みなさんも来年は、体験してみてはいかがでしょうか?

[よごそう祭りレーダーチャート][よごそう祭りレーダーチャート]

※よごそう祭りの感じ方には個人差があります。

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