旅を豊かにするのは「どこを訪れたか」ではなく、「どんな出会いをしたか」。このゲストハウスには「出会い」の織りなすかけがえのない瞬間が息づいている。旅を豊かにするのは「どこを訪れたか」ではなく、「どんな出会いをしたか」。このゲストハウスには「出会い」の織りなすかけがえのない瞬間が息づいている。

よごれながらも自分の道を拓くために⽇々頑張っている30歳の挑戦者たち。
この連載では、彼らの挑戦を紹介します。

「ゲストハウス」に心ひかれて

ー そもそも何故「ゲストハウス」に興味を持ったのですか?

三重県の山奥で生まれ育った反動で、もの心ついた頃から「いつか世界を旅したい」と考えていました。大学4年の時にカリフォルニアに1年間留学したのですが、そこでたくさんの人に出会い、人生経験をシェアしてもらった経験から、出会いを通じて自分を成長させることは大切だと実感したんです。

大学を卒業した後は一般企業に就職したのですが、お給料が安かったのでアパートの代わりにゲストハウスに暮らしていました。おどろくような場所だったんですけれど、いろいろな国の人と会って、話をしたりご飯をつくってあげたりとかが楽しくて。いつかこういう仕事をしたいと考えるようになりました。

勤めた会社は残業代もなく夜遅くまで働く日が続くところだったので、会社を辞めてシルクロードに旅に出ました。「カウチサーフィン」という、現地の人の家に無料で泊めてもらえるサービスを使いバックパッカーをしていました。まちを案内してもらったり、一緒にご飯を食べたりという体験がすごく楽しかったのですが、27歳になる頃に日本に帰国し、自分でゲストハウスを開くことを決意しました。

ゲストハウスの“つくり方”

ー 物件探しからゲストハウスのオープンまで、どのように手がけてきたのですか?

ゲストハウスをするなら地元の三重県、もしくは海外だとずっと思っていました。伊勢市は伊勢神宮が有名ですが、外宮の反対側にある河崎のまちに出会って、すごく気に入ってしまいました。生活感があり、観光地の雰囲気もある。古い街並みに町屋や蔵を改装したカフェや居酒屋もあって、駅にも近く、お風呂屋さんや、コンビニもある。まるで世界の隠れ家のようなこの土地は、ゲストハウスをするにはパーフェクトだと思いました。

ある日訪れたカフェで、この土地の研究者の方に偶然出会い、古い街並みを残そうと頑張っている建築士の方を紹介してもらいました。そこからこの大正時代に建てられた商家の邸宅にご縁をいただきました。旅している時に出会った人に頼みこんで、家の改修の仕方も教えてもらいました。

日々ていねいに、場を育ててゆく。

ー ゲストハウスを経営してみて、どんなことを感じていますか?

ゲストハウスは、場だけではなく「場の雰囲気」も提供するというところが結構大変です。楽しかったか、楽しくなかったかが評価に直接跳ね返って来ますから、毎日皆さんが寝静まるまでは1分も気抜けないんです。ワイワイしたいお客さんも、静かに過ごしたいお客さんもいる。気を配ればうまくいくこともあるけれど、放っておいたら絶対にうまくいかない。

ー どんなゲストハウスを目指して行きたいと考えていますか?

旅が楽しかったかどうかを決めるのって、何を見たかじゃなくて、そこでの出会いに左右されると思っています。自分が旅人だったからこそ、その時にしてもらってよかったと感じたことは大事にしたい。誰かに任せてローテーションじゃなくて、心のこもった、ホスピタリティあるおもてなしで、ひとりひとりを大事にできる場を大切にしたいですね。

ー 友美さんにとって、「汚れ」とは?

自分を成長させようと思っていろんなことを経験すると、どうしてもそれがついてくるのは避けられない。いろんなことを経験しようって頑張ったからこそついてきたものなのかな。27歳くらいの頃は嫌だなって思ったんですけれど、30歳を過ぎると、それも大事に受け止めて行こうって思うんですね。

「汚れ」というと、ゲストハウスの仕事は、掃除や洗濯をしている時間が大半です。でも、考えてみたら、私がオーナーでありながらお掃除まで全部しているから「汚れ」に気づけるんだと思うんですね。そういうことにずっと気づいていられるように、生涯現役でい続けたいなって思っています。

“汚れは、たくさんの人が訪れてくれた、足跡。”

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