出版業界から転職して2年。「〈トイレ〉を通して社会を変える」というスローガンのもと、彼は今日もひたむきに活動に奮闘する。出版業界から転職して2年。「〈トイレ〉を通して社会を変える」というスローガンのもと、彼は今日もひたむきに活動に奮闘する。

よごれながらも自分の道を拓くために⽇々頑張っている30歳の挑戦者たち。
この連載では、彼らの挑戦を紹介します。

「トイレ」に対するイメージを変えたい

ー 何故、今のお仕事に就こうと思ったのですか?

2年前まで出版関係の仕事をしていましたが、単にものをつくるのではなく、もっと企画段階からいろいろなことが提案できないかとモヤモヤした気持ちを抱えていたときに、トイレ研究所の存在を知りました。「トイレを切り口に社会を変える」という理念に沿っていれば何でもできる団体だったので、「ここに行けば自分のやりたいことができるかもしれない!」 と思ったんです。

ー どんな仕事をしているのですか?

小学生を対象にしたトイレ・排泄教育からトイレ空間の改善、出版物の制作など、プロジェクトは多岐にわたります。小・中学生の頃は、私自身、学校でトイレに行くことに「恥ずかしい」というネガティブなイメージを抱いていました。排便の大切さへの理解を促すことで、同じように恥ずかしい思いやつらい思いをしている子どもが、少しでも減るといいですよね。そんな啓発を中心とした日々のプロジェクトのほかに、日本トイレ研究所ではボランティア活動も行っています。

ー ボランティア活動ではどんなことをするのですか?

学校のトイレや公衆トイレなど、地域の方が「快適ではない」と感じる場所のトイレを使いやすい空間に変える、「トイレカーペンターズ」という活動を実施しています。地域の方が参加する“あたたかさ”を大切にしながら、トイレ掃除のイメージを楽しくカッコ良く変えたいなと。ユニフォームをこの真っ白なつなぎにしているのもそうした理由からです。

「トイレカーペンターズ」では、児童やその保護者、地域の方と一緒になってトイレの掃除から壁の塗装、飾り付けなどを行います。

昨年の3月、埼玉県の松原公園での活動に私も初めて参加しました。そのときは10人程のスタッフのほか、地域の方も交代で30人くらい駆けつけてくださいました。

活動の先に見えるもの

ー 「トイレカーペンターズ」の活動を通して、どんなことを感じていますか?

活動で得られる達成感は、想像していたよりも遥かに大きいと改めて感じました。トイレが見違えるのはもちろん、地域の方が笑顔になるのを目の当たりにすると、その分やりがいも感じられます。「今もきれいに使っていますよ」という報告なんかをいただくと、すごく嬉しいですね。

人の手が入ったものって、壊したりよごしたりするのをためらいますよね? それが自然とマナー向上につながると思うんです。だから私たちだけではなく、もっとたくさんの人がそれぞれの地域で自主的に行動することで、波及効果が何倍にも広がればいいなと感じています。

ー 30歳の松本さんが思い描くビジョンを教えてください。

目先のことでいえば、3年後に東京オリンピックがあります。国内外の観光客の方に、公衆トイレを気持ちよく使っていただくことは、私たちなりの「おもてなし」の形だと思っています。そういった意味では、「トイレカーペンターズ」としての活動の回数をもっと増やしていければいいですね。これは夢ですが、ゆくゆくはお掃除キャラバン隊のように車でまわれたらいいね、なんてみんなで話しています(笑)。

ー 松本さんにとって、「汚れ」とは?

トイレの汚れって、人が使うからこそつくものですよね。もちろんていねいに使ったとしても、次第によごれていくものだと思います。あるときは泥汚れ、またあるときははみ出し汚れかもしれません。トイレの汚れは、使った人がどういう使い方をしたのかがわかる、いってみればその人の痕跡を現われるもの。だから「汚れ」は、もっと頑張らなくちゃいけないと自分に思わせてくれる、使った人からの「メッセージ」なのかもしれません。

“汚れは、エネルギーに変えてくれる使った人からのメッセージ。”

SHARE THIS PAGE

Back Number