有限会社 岩佐歯車製作所 歯車技師 藤井 一行  日本が世界に誇る精密加工技術。⻭車を削る機械の前には、匠の技に少しでも近づこうと日々研磨する、30歳の若い職人の姿があった。有限会社 岩佐歯車製作所 歯車技師 藤井 一行  日本が世界に誇る精密加工技術。⻭車を削る機械の前には、匠の技に少しでも近づこうと日々研磨する、30歳の若い職人の姿があった。

よごれながらも自分の道を拓くために日々頑張っている30歳の挑戦者たち。
この連載では、彼らの挑戦を紹介します。

工匠の仕事とは?

ー 何故、この仕事を選んだのですか?

子どもの頃からプラモデルを組み立てるのが好きで、短大で木工を勉強していたんです。最初は模型関係の仕事につきたくて入社試験を受けたのですが、落ちまして。先生からも「お前は作品というより製品をつくる方が向いている」と言われて。だったら歯車やネジをつくる仕事がいいなと探していたら、大田区のホームページでたまたま岩佐歯車製作所の求人を見つけて。会社を見学にきて、その後1ヶ月考えて、入社を決めました。

ー 歯車を削る「工匠」の仕事とは、どんなことをするのでしょうか?

うちの仕事は、産業用機械の部品が一番多くて。発注元の業者さんからもらった図面通りに、機械のセッティングをしまして、材料をつけて、削ってみて、終わったら寸法が正確に出ているかの計測をします。機械を動かした後は、加工は自動運転になるのですが、最終工程の鉄を削るところは手作業でして。入社してしばらくは、その手作業ばかりをずっとやっていました。

9年間働いてきて、加工するという仕事自体は変わらないのですが、だんだん、以前はできなかった複雑なものをつくったり、品物の精度がでているかを目で見たり、鉄の削られる音を聞いて判断することができるようになってきたと思います。

職人としてのキャリア

ー 職人として、目指す姿とはどういうものでしょうか?

社長は10代から仕事をはじめて、80歳を超えた今も現場で職人として働いています。元気ですし、何をすればどうなるかが全部わかっているんで、仕事がとにかく速いんです。単に機械の使い方がわかっているというのと、使いこなせていることの差なのかなと思いますね。今でも社長にしかできない仕事っていうのはありますし。職人には定年がない。70代で現場に立っている方もかなりいらっしゃいます。自分も一生、技を追求して、仕事を続けていきたいと思います。

ー 30歳の今、どんなことを感じていますか?

入社した時に、社長から「10年たってもまだ一人前にはなれないぞ」と言われました。もう少しでこの仕事を始めて10年になりますが、やはりまだ一人前とはちょっと違うかな、と思っています。どう削ったらいい結果が出せるかということは、経験がないと読めない。一人前になり、一流になるまで、毎日の積み重ねなんだなと思いますね。これからも経験を積んで、削り続けることで、職人として一人前を目指していきたいと思っています。

ー あなたにとって、汚れとは?

汚れは、経験やかかった時間をあらわすもの。そう考えると、自分の精度を高めていく材料のひとつととらえることもできると思います。

汚れとは、精度を出すための材料。

SHARE THIS PAGE

Back Number